う氷

 雷と非常ベルが鳴り響き、マンションを打ちつける音とガスの香りが立ちこめる。

 遠くで輝く稲妻。妹はリュックを背負って逃げる準備を始め、兄は半裸で洗濯物を取り込み始める。

 不意に陽光がベランダを照らすと、いつのまにか帰ってきていた母は、つまらなそうな顔をして家を出て行った。

 なおも日常は続く。