よくない問題

 京浜東北線で見つけた、漢検の例題より。

責任を他人にテンカするな

 文意がよれよれの悪い見本だ。

 答えに「転嫁」と書かせたいのだろうが、この文だと「添加」でも「点火」でも正解。

「責任を他人に(して)点火するな」

 つまり、「点火するなら自分の責任においてやれ」って意味にも使える。

 なんでこうなるかと言うと、この文では動詞「テンカする」の対象*1があやふやになっているから。原則として、動詞の直接の対象(「責任を」)は動詞の直前。だから、本来なら「他人に責任をテンカするな」とすべき。これなら「転嫁」以外に答えはない。

 主語があやふやになると文意は伝わりにくくなる。文意が伝わりにくいと、どうとでもとれるようになる。聞き手、読み手が自分で文を補完してしまうから。

 日本語学の権威が、こんな半端モノを「正しい」と教育してるなんてなぁ、泣けてくる。

REFERENCES

[http
//www.geocities.jp/niwasaburoo/:title] : 文法の説明に使わせていただきました。

*1:必須補語。