エミリー・ローズ

 星4つ。

 「エクソシスト」よりホラー。

 ただのホラー映画には終わらない奥深いストーリーと衝撃的なラスト。

 ただ聖書や聖書文化に馴染みの無い人には、少々きついかもしれない。

陳腐に言えば悪魔祓いの光と闇

 エクソシストと言えば悪魔と戦うヒーローのようなイメージ*1を持たれているが、彼らの行う治療には違法性がある。
 悪魔に憑かれた人を精神科医は病人だと言う。彼らは専門家で、法はそれが正しいと認める。しかし、実際に精神病では片付けられない症例があることも確かだ。それが本当に悪魔の仕業かどうか見極め、祓うのがエクソシストの役割だが、法はそれを認めない。しかも人々は確かめる術を持たない。
 神父は悪魔を祓おうとしたが敵わず、エミリーは死んだ。神父はそう語る。
 神父は悪魔を祓うと言って患者から薬を取り上げ、エミリーを殺した。法はそう語る。
 どちらが真実か。誰がそれを知ることができるのか。

ただのホラーはもう要らない

 「ファウスト」では悪魔すら神の子だと語られた。

 「不死者あぎと」では、悪魔祓いは悪魔を打ち倒すのではないと語られた。

 「エミリー・ローズ」は可能性だ。

REFERENCES

The Exorcism of Anneliese Michel

The Exorcism of Anneliese Michel

エミリー・ローズ (竹書房文庫)

エミリー・ローズ (竹書房文庫)

ファウスト〈第1部〉 (ワイド版岩波文庫)

ファウスト〈第1部〉 (ワイド版岩波文庫)

*1:特に「エクソシスト ビギニング」の主人公はヒロインを守って悪と戦うヒーローだった